内田さんの「おっかけ」と自称しつつ、知らなかったこの『ためらいの倫理学』が初めての単著。―抜粋― およそ偉大な思想家というものは凡人には容易に思いもつかないことを考えている。だから彼らは「名刺代わり」に、著書の冒頭で「これはすごくむずかしいからね」と難度を告知してくれる。だから、それはそのまま名刺として受け取って「はい」と返事だけしておけばよいのである。偉大な思想家の考想を咀嚼するには、長期にわたる集中的な読書が必要である。その営みを支援するのに必要なのは、読解力よりはむしろ忠誠心である。知識よりはむしろ信仰心である。「偉大な思想家」とは彼を「理解できること」よりも「理解できないこと」の方から読者が大きな利益を引き出すことのできる思想家のことである。だから最初にいただいた「名刺」を机の前に貼って「分からないけど、今日も読む」というのが「偉大な思想家」に対する正統的な読み方なのである。
by Tabathatokabu
| 2013-10-31 11:52
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